本業の開発を止めずに、事務工数50%削減。現場を巻き込み、圧倒的なスピードと精度を追求

株式会社スムーズ様のメンバーとオンライン参加者の集合写真

契約管理業務にAIを導入し、全体工数を約50%削減。月100時間以上の削減を実現した株式会社スムーズ様の導入事例。

「AIで効率化したいが、どう進めればいいか分からない」「現場の業務がボトルネックになっているが、手が回らない」。そんな悩みを抱えながらも、具体的な一歩を踏み出せていない企業は少なくありません。

特に書類の確認やデータ転記といった業務は、非効率だと分かっていながらも、精度や運用リスクの観点から人手に頼らざるを得ない領域です。結果として繁忙期には現場が逼迫し、構造的な課題として積み上がっていきます。

そうした状況に対して、AIを前提とした抜本的な業務改革へと舵を切ったのが、今回ご紹介する株式会社スムーズ様です。本記事では、プロジェクトを共にした弊社代表・岡崎の視点も交えながら、プロジェクトの背景から実際の開発プロセス、そして得られた成果までをご紹介します。

株式会社スムーズ様とYTALのインタビュー風景

株式会社スムーズ様について

株式会社スムーズ様は、賃貸初期費用のあと払いサービス「smooth(スムーズ)」を運営するFinTechスタートアップです。2026年2月には伊藤忠商事との提携による最大40億円規模の資金調達スキームを始動。テクノロジーと独自のファイナンス基盤を武器に、お部屋探しの負を解消する業界のゲームチェンジャーとして注目を集めています。

今回お話を伺ったのは、オペレーション本部MGR 松崎様、CPO 伊藤様、オペレーション本部 契約管理チーム リーダー 古賀様です。

業務負荷の限界と、AI導入の必要性

スムーズ 伊藤様: 本プロジェクトは、契約管理チームの業務効率化を目的とした取り組みです。このチームでは、不動産会社から送付される複数の書類を確認し、内容を転記しながら、ユーザーの申込情報との一致をチェックする業務を担っています。金融機関への正確な報告にも関わるため、非常に重要な業務です。

スムーズ 古賀様: 具体的には、入居申込書や事前審査の内容に相違がないか、物件の実在や初期費用などを確認します。書類は通常3枚程度ですが、多い場合は10枚以上に及び、これを契約ごとに処理する必要があります。また、不動産会社や物件ごとに書類のフォーマットが異なり、手書きの書類も含まれるため、統一的な処理が難しく、時間をかけてすべて人の目で確認していました。

現場の重要業務である一方、扱う書類は多様で、定型化も難しい。まさにAI導入の難所といえるテーマでした。

なぜYTALに任せたのか

スムーズ 伊藤様: 今回の取り組みは、複雑性の高さから事前に要件を完全に定義できるタイプのプロジェクトではなく、試行錯誤を前提としていました。そのため、柔軟に検証を進められるパートナーに任せたいと考えていたんです。また、私自身はプロダクト開発に注力したいという考えもありました。

スムーズ 伊藤様: こうした背景から、AIを前提とした業務改革に取り組むうえで、これまでの協働実績による信頼に加え、十分な知見と実行力を持つパートナーとして岡崎さんに依頼するに至りました。

株式会社スムーズ CPO 伊藤様

ここで求められていたのは、受託開発のように仕様を受けて実装する相手ではなく、不確実性の高いテーマを現場と一緒に解きながら前進させるパートナーでした。

2週間でデモを実現し、現場を巻き込みながら改善

YTAL 岡崎: 2025年10月後半から見積もりや要件のすり合わせを行い、11月初旬から開発を開始しました。初期フェーズではサンプルの契約書をもとに検証を進め、約2週間でエンドツーエンドのデモを実施しています。

YTAL 岡崎: その後は本番導入に向けた開発フローの整理と精度向上に注力しました。特に難しかったのは、手書きや不統一なフォーマットなど、多様な書類への対応です。こうした課題に向き合いながら、工数削減の効果を見極めつつ、1月の正式リリースまで何度も改善を重ねていきました。

YTAL 岡崎

スムーズ 松崎様: 難しかったのは、ゼロから仕組みを作るのではなく、すでにスムーズ社内で運用していた既存システムに合わせてAIを設計する必要があった点です。例えば住所一つをとっても、既存のシステム画面に合わせ、番地や建物名などを細かく分解された形式で出力しなければなりませんでした。

住所情報の抽出と出力イメージ

スムーズ 松崎様: 申込情報と書類情報の一致確認は、正しい情報に基づいた契約を実現するための重要なプロセスです。そのため、正確かつ細かい粒度でのデータ生成が求められました。

スムーズ 松崎様: 岡崎さんには、こうした要件を踏まえ、書類からの情報抽出と同時に既存システムでそのまま利用可能な粒度・形式でデータを出力できる仕組みを構築していただきました。

精度を高めるための設計

YTAL 岡崎: 複数の方法を組み合わせましたが、一番イメージしやすいのはプロンプトの改善だと思います。Googleの管理画面から現場の皆さんが直接プロンプトを調整できる環境を整え、リアルタイムに検証と改善を繰り返した結果、短期間で精度を引き上げることができました。

スムーズ 古賀様: プロンプトがバージョン管理されていて、万が一の際もすぐに以前の状態に戻せるのが心強かったですね。エンジニアリングの専門知識がなくても、安心してトライ&エラーを繰り返すことができました。

株式会社スムーズ 契約管理チーム リーダー 古賀様

精度向上は、単にAIモデルを変えることではなく、現場が継続的に改善できる運用設計まで含めて成立します。今回のプロジェクトでは、その改善サイクル自体を現場に開いたことが大きな意味を持っていました。

AI任せにしない、人とAIの役割分担

YTAL 岡崎: AI自身が出力結果の信頼度を判定する仕組みを導入しており、信頼度が低い項目は人間が確認すべき箇所として可視化されています。そのうえで、年収や世帯情報など審査に直結する重要項目については、AIの判定に関わらず必ず人の目で確認する運用体制としています。

YTAL 岡崎: また、一定割合での無作為のサンプリングチェックを実施し、全体として大きな誤りが発生していないかを継続的にモニタリングしています。さらに、誤りを検知した場合にフィードバックできる仕組みを設け、データとして蓄積し、継続的な改善につなげています。

スムーズ 伊藤様: 100%の正確性を前提とするのではなく、リスクに応じて人とAIの役割を設計することが、AI導入を成功させる鍵なんですよね。今回も「どこまでを自動化し、どこを人が担保するか」を明確に切り分けることで、実運用に耐えうる精度と安全性につながりました。

このプロジェクトで重要だったのは、「全部自動化する」ことではなく、「どこを自動化すれば現場価値が最大化するか」を設計したことでした。

月100時間以上の削減と、その先に起きた変化

スムーズ 古賀様: 以前は、書類内から必要な情報を目視で探し出し、分割・入力しながら正確性まで確認する必要があり、非常に多くの工数がかかっていました。オペレーターの熟練度によって作業のスピードや精度にバラつきが出ることも大きな課題でした。

スムーズ 古賀様: しかし今回の取り組みによって、全体の7〜8割のケースでAIが正確に情報を抽出できるようになり、人間は「重要項目の確認」に集中できる体制になりました。その結果、少なく見積もっても全体工数の約半数を削減でき、月100時間以上の工数削減を実現しています。

スムーズ 松崎様: 単に作業スピードが上がっただけでなく、AIの補助によってチェック精度も向上しました。人的ミスに起因する心理的負担も軽減され、現場にとってより健全なオペレーション環境の実現につながっています。

スムーズ 松崎様: また、業務の属人性も解消されました。これまでは経験やスキルに依存しやすく、特定のメンバーに負荷が集中したり、離職によってノウハウが失われるリスクがありました。しかし今回の取り組みによって、業務はチーム全体で再現可能な形に標準化され、継続的に改善していける状態が整いました。

この事例の価値は、単なる工数削減に留まりません。品質、心理的負荷、属人性、将来の拡張性まで含めて、業務そのものの構造が変わった点にあります。

プロジェクトについて語る伊藤様と古賀様

なぜこのプロジェクトは前進できたのか

スムーズ 伊藤様: 非常に満足度の高い支援でした。特に印象的だったのは、スピード感と自走力の高さです。通常、エンジニアに業務を依頼する際は、細かくマイルストーンや完了条件を設定することが多いのですが、今回は「精度90%を目指す」といった大枠のゴールを共有するだけで、そこに至るまでのプロセスを主体的に設計・推進していただきました。

スムーズ 伊藤様: また、いきなり全体最適を狙うのではなく、まずは一部の機能で確実に成果を出し、そこから段階的に適用範囲を広げていくアプローチを取ってくださいました。結果として、プロジェクト全体を通じて大きな認知負荷をかけることなく、適切なタイミングで成果を確認できる状態が維持されており、非常に信頼感のあるパートナーだと感じています。

スムーズ 古賀様: 現場としては、使いやすさを非常に重視していただけた点が印象的でした。「この表示は見やすいか」「色分けは適切か」といったUIの細かな部分まで丁寧にヒアリングいただき、実務にフィットした形で改善が進んでいきました。

スムーズ 古賀様: また、難易度の高い項目についても、別のAIモデルを組み合わせるなど柔軟に対応いただき、目的達成に向けて最適な手段を選び続けていただけた点が心強かったです。

スムーズ 松崎様: 関わり方としては、こちらが細かくディレクションするというより、必要な情報提供に集中できる体制でした。プロジェクト全体を岡崎さんがリードしてくださり、気づけば高い完成度の成果物が出来上がっていたという感覚です。他業務と並行する中でも大きな負担を感じることなく、安心してお任せできました。

スムーズ 伊藤様: プロダクトマネージャーの指示を待つのではなく、現場メンバーと密に連携しながらニーズを捉え、どこから着手すべきか、どのように精度を高めていくかといった設計から実装までを一貫して推進するスタイル。まさに「Forward Deployed Engineer」的な立ち回りですよね。AI時代における新しいエンジニアの価値を体現されていたと感じています。

YTAL代表 岡崎

YTALが意識したこと

YTAL 岡崎: 一番意識していたのは、「価値をどう伝えるか」です。そのため、個別の機能ではなく完成品のデモを早い段階で見せることを重視していました。

YTAL 岡崎: AIは数値や精度だけでは価値が伝わりにくいため、「実際の業務でどう使われるか」を具体的にイメージできる状態をつくることが重要だと考えています。また、技術的な正しさだけでなく、現場で使われて初めて意味があるため、プロダクトとしての価値にもこだわりました。

YTAL 岡崎: さらに、継続的に精度を高めていくための仕組みづくりも意識しています。誤りを蓄積・可視化し、改善サイクルを回し続けられる状態を整えることで、プロジェクトが終了して自分が関わらなくなった後も、現場起点で改善し続けられる設計を目指しました。

今後の期待: AIをプロダクトと開発プロセスに組み込む

スムーズ 伊藤様: 大きく2つあります。1つ目は、プロダクトそのものにAIを組み込むことです。スムーズのサービスはLINE上のチャットを中心に設計されており、契約後の支払い案内や督促など、継続的な顧客接点が存在します。今後はこれらのコミュニケーションをAIが主体となって担い、より適切でパーソナライズされた対応を実現していきたいと考えています。

スムーズ 伊藤様: 2つ目は、開発プロセスそのものの変革です。今後はAIが主体となって開発を進め、人間は意図の設計や最終的な評価に集中する形へシフトしていくと考えています。そのために、既存コードをAIが扱いやすい形に改善しつつ、自律的にコード改善が回り続ける仕組みを構築したいと考えています。

YTAL 岡崎: どちらも非常にチャレンジングで面白いテーマだと感じています。引き続きパートナーとして伴走しながら、価値創出に貢献できればと思います。

同じ課題を抱える企業にとっての、YTALの使い方

スムーズ 伊藤様: まずは「課題を本質レベルで、まるごと預けてみること」が重要だと思います。「この機能を作ってほしい」という手段から入るのではなく、「どこに課題があるのか」という悩みから相談し、解決策はお任せする。そうすることで、YTALの持つ力が最大限に発揮されると感じました。

スムーズ 伊藤様: また、PdMの方にとっては、事業成長に直結する施策に集中しながら、後回しになりがちな業務改善やコスト削減を切り出して任せられる点も大きな魅力です。

スムーズ 松崎様: エンジニアリングの専門知識や十分なリソースが無い中でも、プロジェクトが前に進んでいく安心感が非常にありがたかったです。私たちのように「複数の業務を担っていて、特定のプロジェクトに多くの時間を割けない」という企業こそ、最小限の関与で成果を出してくれるパートナーとして、YTALさんは非常に相性が良いはずです。

YTAL 岡崎: 今回スムーズ様と密に連携させていただいたことで、AIは正しく設計すれば「現場の強力な武器」になると再確認できました。リソースの制約で本質的な改善を諦めてしまっている企業様は、ぜひ壁打ちのような感覚で頼っていただければと思います。

貴社の「本業」を加速させる、AI内製化パートナーという選択

今回ご紹介した株式会社スムーズ様のように、事業成長の裏側で膨らむアナログ業務やオペレーションの限界に課題を感じていませんか。

「何から手をつければいいかわからない」「社内エンジニアのリソースはプロダクト開発に集中させたい」「仕様書を固める前に、まずはプロトタイプで効果を確かめたい」。そんなお悩みをお持ちの企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。課題の整理や、AI導入の優先順位付けから伴走します。

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