3か月で全国約270店舗へ新機能リリース。「数百時間の削減」と「顧客体験の向上」を両立
創業120周年を迎えた株式会社白洋舍様のアプリ機能拡張をご支援。法規制・既存ベンダーとの調整・繁忙期リリースという制約の中、PUSH通知と伝票電子化を3か月で全国約270店舗に展開した事例。
当社YTAL(ワイタル)はこのたび、創業120周年を迎えたクリーニング業界のリーディングカンパニー、株式会社白洋舍様のデジタル戦略強化をご支援しました。
法規制への対応、既存ベンダーとの調整、創業120周年の節目に合わせたタイトなスケジュール、そして繁忙期でのリリース。複数の制約が重なるプロジェクトでしたが、白洋舍様と密に連携しながら、無事にリリースまでたどり着くことができました。
本記事では、プロジェクトの背景から開発の進め方、そして得られた成果までを、インタビュー形式でご紹介します。

株式会社白洋舍様について
1906年の創業以来、日本のクリーニング業界を牽引し続けるリーディングカンパニー。日本で初めてドライクリーニングを導入したパイオニアであり、2026年3月に創業120周年を迎えられました。
全国の店舗網に加え、自社スタッフによる集配やネット申込の宅配便など、時代に合わせた多様な利用スタイルを展開。伝統の誇りと挑戦心を胸に、一着一着へ「まっさらな感動」を込めて、人々の暮らしを支えています。
- HP: hakuyosha.co.jp
- 公式Instagram: @hakuyosha_clean_living
今回お話を伺ったのは、マーケティング戦略推進部の田邉様・上田様・賀山様・穐津様、そしてプロジェクトパートナーの飯沼亜紀様です。

3年の月日を経て、一歩踏み出せた理由
白洋舍 田邉様: クリーニング業界はこれまで、電話やハガキなど、アナログな手法で接点を築いてきました。その中で当社では、「お客様と長く関係を持ち続けること」と「店舗・集配・宅配の3つのチャネルをシームレスに繋ぐこと」を目的に、2022年から公式アプリを導入。デジタルでの顧客接点を強化してまいりました。
白洋舍 田邉様: 今回のプロジェクトは、お預かりした品物の状態や仕上がりをお客様にお知らせする「PUSH通知機能」のアプリ実装と、従来は紙で管理していた「お預かり伝票」の電子化、この2点をご依頼しました。どちらもアプリ導入当初からお客様からもスタッフからも求められていた機能で、3年の月日を経てようやく実装に一歩踏み出せました。

白洋舍 穐津様: 実現までに3年もの月日を要した一番の要因は、クリーニング業法が定める「書面交付の義務」という極めて高い壁でした。「名称や数量を記した紙を必ず手渡さなければならない」という法律の解釈を巡り、顧問弁護士とも幾度となく議論を重ねましたが、万が一の法的リスクを拭いきれず、プロジェクトを前に進めることができずにいました。
白洋舍 穐津様: しかし最終的には、「デジタルへの完全移行」に固執せず「デジタルと紙の両方を活かす」という現実的かつ前向きな判断を下したことが転換点となりました。
白洋舍 田邉様: 法的な制約をクリアした上で、新たにぶつかった壁が既存アプリの基盤のカスタマイズにおける制限です。既存アプリはノーコードツールを使用して作成したものです。パッケージサービスのため、今回のような特殊な機能を追加するにはベンダーさんに依頼してフルカスタマイズする必要がありました。
白洋舍 穐津様: ベンダーさんに依頼することで当然コストも膨らみましたし、スケジュール面でも当社が目指していたスピード感と折り合いませんでした。3月は衣替えシーズンというクリーニング業界の繁忙期の1つであり、かつ3月14日には120周年の記念イベントを控えており、ぜひその節目のタイミングに間に合わせたいと考えていました。
パートナー 飯沼様: 当初ベンダーさんは、複雑な要件の理解にかなりの時間を要するという見立てをされていました。しかし私自身、白洋舍様が実現したい本質をすでに深く理解していましたし、よりスピード感を持って形にできるという確信がありました。そこで、求める成果を最短距離で手に入れるために外部の力を借りるご提案をし、北郷さんにお声がけしたんです。
パートナー 飯沼様: 北郷さんはかつての同僚で、仕様書を細部まで作り込まずともよしなに形にしてくれる安心感や、共通言語で議論できるやりやすさがありました。実際、最初の打ち合わせで口頭でお伝えしただけで、要件の勘所を完璧に捉えていただけた感覚がありましたね。

コストを抑えながら、スピードも品質も妥協しない
YTAL 北郷: 12月末頃からプロジェクトを開始し、2〜3週間で最初のプロトタイプを作成しました。その後、リトライ処理などの例外対応を含めて開発を進め、クラウド環境のアカウントセットアップやインフラ構築も並行して対応し、1か月強でリリース可能な状態まで仕上げることができました。
YTAL 北郷: 2月から3月にかけては、実際の店舗でテストを行いました。負荷テストや店舗オペレーション上の確認など、さまざまな観点から検証を重ね、3月9日から段階的に本番リリースを開始しました。リスクを最小限に抑えながら、順次対象店舗を広げていく進め方です。結果として、120周年記念イベントに合わせた本番リリースを実現でき、4月1日には全国約270店舗への展開を完了しました。
白洋舍 田邉様: このタイトな日程で新機能を実装できたのは、YTALさんにスピード感を持って進めていただけたからだと感じています。本当にありがとうございました。

YTAL 北郷: 技術面で特に注力したのは、堅牢なシステム作りです。複数の独立したシステムを連携させる分散システムのような構成ですので、二重処理を防止したり、どこかの処理が遅延してもリカバリーできるように設計したりなど、丁寧に設計を進めました。
YTAL 北郷: また、クリーニング業界は季節による需要変動が激しく、繁忙期にはシステムの負荷もかなり大きくなることが予想されます。万が一、最も忙しい時期にシステムが遅延すれば、現場の混乱と信頼失墜を招きかねません。そのため、今後の事業拡大や顧客数の増加も見据え、想定の100倍の負荷でも問題なく動くかを入念にテストしました。
YTAL 岡崎: 120周年という絶対に失敗できない節目に、圧倒的なスピードと「100倍の負荷に耐える堅牢性」を両立できたのは、大規模なシステムの開発に携わってきた我々の経験やスキルを、うまく活かせたからだと思っています。開発期間とコストを抑えながら、品質面も妥協しない。この両立を目指せる点が、私たちのAIを用いた開発スタイルの価値だと考えています。
3社間連携をスムーズに進めた役割分担
YTAL 北郷: 白洋舍様・ベンダーさん・YTALの3社間でのプロジェクトでしたが、Slackで情報を共有し、私が仕様書を読み解いてベンダーさん側に積極的にQAを投げさせていただきました。技術面は私が、画面変更などは田邉さんが担当し、役割分担を明確にして進めました。
白洋舍 田邉様: 北郷さんが技術的な橋渡しを担ってくださったことで、私たちで判断できる領域とシステム部門に確認すべき領域の切り分けも非常にスムーズでした。スピード感を削ぐことなく進められたのは、この体制ならではの強みだったと感じています。
白洋舍 田邉様: 良いことも悪いこともハッキリおっしゃっていただけるので安心感がありました。不具合があってもすぐに対応いただけてありがたかったですね。3月14日に間に合わせることを最優先に考えてくださり、大変ありがたかったです。
白洋舍 上田様: 大変だった点をしいてあげるなら、テスト項目に漏れがないか確認する作業です。ここは、店舗での経験がある賀山や集配についてよく知っている私も協力し、チームの知見を集結させて対応しました。

新機能で実現した、数百時間分の業務効率化と顧客体験向上
白洋舍 田邉様: 機能リリース後約1か月のタイミングで40店舗の現場社員へヒアリングを実施しましたが、ほぼ全店から「ようやくできたんですね!」「一番待ち望んでいた機能なので嬉しいです!」などの喜びの声が挙がりました。
業務において、今後効果を期待しているものも含めてポジティブな側面が3つあります。
効果①|アプリ登録率UP
白洋舍 田邉様: 「通知が届く」「伝票不要」という利便性が武器になり、より自信を持ってお客様へアプリをおすすめしやすくなりました。実際に、4月の新規顧客のアプリ登録率が昨年比で4.9pt上がっています。
効果②|伝票紛失・不所持の際の対応削減
白洋舍 田邉様: お客様にお品物のお渡しする際には、必ず伝票をご提示いただく必要があります。お客様が伝票を紛失されたり忘れてしまったりした際には、別途受領書を記載する工数が発生していました。
白洋舍 田邉様: しかし伝票を電子化してアプリで伝票情報を確認できるようになってから、その工数が少しずつ減ってきています。全国約270店舗で合計数百時間/年の削減を見込んでいます。
効果③|引き取り促進の電話業務の削減
白洋舍 田邉様: 中にはクリーニングに出したことを忘れてしまい、お品物をなかなかお受け取りにいらっしゃらないお客様もいらっしゃいます。そのようなお客様に対し、これまでは繁忙期を過ぎたタイミングで一斉に電話をかけていました。今後は仕上がりのPUSH通知によって、このような対応が減る見込みです。

白洋舍 賀山様: お客様目線では、PUSH通知と伝票電子化それぞれにメリットがあります。PUSH通知では、お渡し予定日より1か月(30日)以上を過ぎると延滞保管料が発生してしまうのですが、通知によって受け取り忘れを防ぎ、延滞保管料の発生を回避することができます。また仕上がり状況が可視化されるため、店舗へ行ったのに「まだできていなかった」という無駄足を踏むリスクがなくなります。
白洋舍 賀山様: 伝票電子化では、伝票を失くしてしまった際にこれまで店頭で必要だった「受領書の記入」や「身分証の提示」といった煩わしい手続きが一切不要になります。また「今日は伝票を持っていないから取りに行けない」という制限がなくなり、外出先でふと思い出した際でも、スマートフォンさえあればその場で引き取ることができます。
今後の展望
白洋舍 田邉様: 今回は店舗にご来店いただくお客様向けの機能をお願いしましたが、今後は集配や宅配の領域でもアプリを活用していきたいと考えています。まだまだ伸びしろがある分野ですので、引き続き力をお貸しいただきたいです。
白洋舍 穐津様: YTALさんはただの開発会社ではなく、「戦略部分を一緒に考えてくれるパートナー」だと感じています。デジタル戦略を推進する上で同じ方向を向いてくれる大事な存在です。現在、中期経営計画の中でもデジタルをどう進化させるかを考えていますが、そこでも深い相談をさせていただければと思います。

YTAL 北郷: ありがとうございます。新たなご依頼やご相談は皆さまからの信頼の証だと思いますし、真摯に取り組んできて良かったと改めて感じております。引き続きよろしくお願いいたします。
YTAL 岡崎: 「お客様のやりたいこと」と「既存システムの制約」の間に落ちてしまっている課題を拾い上げることも、私たちの介在価値の1つです。今回のように、要件が複雑かつスピードが必要な機能を「戦略的に外部に切り出す」という選択肢をご提示することで、これからもお客様の事業成長を加速させるパートナーでありたいです。
貴社の事業を前に進める、外部パートナーへの「戦略的切り出し」という選択
YTALでは、本件のような既存システムの制約、業務要件整理、タイトなスケジュールが絡み合うプロジェクトにおいても、構想整理・要件定義から開発・実装・運用まで一気通貫で伴走しています。
すべてを内製するのではなく、必要な領域を戦略的に外部へ切り出すことで、事業のスピードを落とさずに前へ進める。そのような選択肢を、YTALは技術と業務理解の両面から支援します。
「やりたいことはあるが、既存システムや社内リソースの制約で前に進まない」「短期間で検証・実装まで進めたい」「外部パートナーにどこを切り出すべきか整理したい」。そんなお悩みをお持ちの企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。